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2020.11.20

ECにおける1to1コミュニケーション成功の秘訣 〜アンダーアーマーを手掛ける株式会社ドームの事例〜

テクノロジーが進歩し、顧客のデジタル活用が進む中、ECサイトの重要性が高まっています。顧客のニーズや行動履歴の分析が可能になった今、お客様一人ひとりに対して適切なアプローチを行う『1to1コミュニケーション』が重要に。売上げに直結し、企業の命運を分けるポイントとなっています。
本記事では電通アイソバーが構築支援を行った、米「アンダーアーマー」の販売代理等を務める株式会社ドーム(以下、ドーム)のEC事例をご紹介。売上げ倍増の背景には、緻密なユーザー視点の設計と、安定した構築体制がありました。成功の裏側をご紹介いたします。

ECでの魅力的なブランド体験には『1to1コミュニケーション』が必須

顧客の嗜好に合わせたプロモーションを実施したい。顧客のニーズやタイミングをとらまえてメールを送りたい。このように、顧客に合わせたコミュニケーションをとりたいと望んでいるにも関わらず、それを実現できている企業は決して多くはありません。ドームも同じような悩みを抱えていました。
自社のブランドを、顧客に提供する「体験」そのものによって表現したい、そう考えたドームは、オンラインにおける顧客体験設計を得意とする電通アイソバーをパートナーに選定。『1to1コミュニケーション』の実現に向けたECサイトの刷新プロジェクトに乗り出しました。

アイソバー選定の理由は、グローバルで展開するIsobar Commerceの存在も重要なポイントでした。Isobar Commerceは、Salesforce、Adobe、SAP HybrisなどのECプラットフォームのノウハウをグローバル規模で蓄積・共有しているコマースソリューション部隊。今回のECサイト刷新では、アンダーアーマー本国が採用していたSalesforce Commerce Cloud(以下SFCC)導入が前提であり、Isober Commerceがアンダーアーマーの韓国サイトの実装を手がけた実績もあったため、電通アイソバーへ大きな期待が寄せられたのです。

電通アイソバーの強みを活かし、3ブランドのECを構築

ドームは「アンダーアーマー」の販売代理に加え、メディカル用品の「D Medical」、サプリメントの「DNS(*)」などの事業を展開しており、以前から販売チャネルとしてECを展開していました。
*…2020年8月31日より、DNS事業は別会社へ事業継承されています。

 しかし、1つのECサイトで上記の3ブランドを取り扱っていたため、顧客に対するブランドごとのアプローチができないという課題を持っていました。ECサイトからは顧客情報も収集していましたが、それらはチャネルや組織ごとでバラバラな管理になっていたため、パーソナライズしたコミュニケーションをとることも困難な状況でした。

そこで、本プロジェクトではSFCCを利用した3ブランドそれぞれのECサイトの立ち上げを実施。「D Medical」と「DNS」はゼロからの構築、「アンダーアーマー」は米国のECサイトをマスターとして、日本向けローカライゼーションと、決済系・基幹系とのつなぎこみを行いました。さらに、Salesforce社のMA(Marketing Automation)ツールやAdobe社の顧客行動分析ツールとそれぞれのECサイトを整理して連携させることで、『1to1コミュニケーション』の実現を図りました。

また、開発はIsobar Commerceがベトナムに持つオフショア拠点と連携して行われました。電通アイソバーのプロジェクトマネージャーが窓口となり、ドームとはもちろん、米アンダーアーマーやベトナムとのこまめなやりとりを行いながらプロジェクトを進行。グローバルとのコミュニケーションまで担える電通アイソバーの強みを生かし、限られた期間でプロジェクトをスムーズに進めていきました。

ドームの要望実現にあたって優先順位や実現方法を考え、要件を固める

「プロジェクト成功のカギを握るのは、ECサイトに求める要件の決定です。各ブランドが実現したいことがSFCCのデフォルトの仕様でできない場合、足りない機能を加えたり、備わっている機能を拡張したりする必要があります。追加の作業はコストや工数の増幅にも影響するので、重要性を見極めながらフィット&ギャップを考える必要があるのです。そして、優先順位をつける際に軸となるのは、ECサイトのユーザーを第一に考える顧客目線なのです。」

プロジェクトマネージャーを務めた電通アイソバーのテクニカルディレクター後藤渉は、このように語ります。

たとえばサプリメントブランドの「DNS」については、ロイヤリティプログラムの導入や定期便の実現をしたいという要望がドームから挙がりました。顧客の購買状況を踏まえた丁寧なコミュニケーションを行うことで、ブランドのファンになってもらうという狙いです。それらをどうやってSFCCで実現するのかが重要なポイントとなります。

新しいECサイトではロイヤリティプログラムとして、会員ランクに応じたプロモーションが展開されています。定期購入サービスでは、顧客がどのように商品を摂取しているのかを顧客目線で考え、点数や定期便の間隔を決定。配送数に応じたプロモーションの展開とメール送付による解約防止につなげています。つまり、顧客がサプリメントを使い終わる直前を狙ってメールを送ることで、解約を防ぐのです。

「電通アイソバーの実績に基づくノウハウやユーザー分析力をもとにご提案することで、ドーム様も納得して要件を決めることができたようです。また今回は、3サイト共通でAmazon Payを導入していますが、それはアンダーアーマーを利用するユーザー層がAmazonをよく使う層だとユーザー分析で分かっていたからです。このように、常にユーザーにとっての利便性を考慮してユーザー視点で構築を行っていきました」(後藤)

DNSは売上高が前年同月比2倍、担当者は販売に専念できるように

このようにして、ドームと電通アイソバーはSFCCを中心にMAや分析ツールなどの技術ともうまく連携させながら、4ヶ月という短期間で3ブランドのECサイトを立ち上げました。

その成果はすぐに数字に現れ、「DNS」のECサイトでは売上高が前年同月比で2倍を達成しました。ドームが考える一番の成功要因は、ブランド毎でサイトを分けたことで「DNSの顧客」を分析できるようになったこと。分析結果を受け、定期便におけるインセンティブや優良顧客の優遇など、顧客一人ひとりに対するタイミングのよいコミュニケーションを実現しています。

また、決済手段としてのAmazon Payの導入は顧客の使い勝手改善に大きく貢献していると考えられます。

さらに、変化はドームの社内にも生まれました。それまではサイトの差し替えなどの作業に時間を取られていた担当者が、どの商品をいかに販売するのか、どのような顧客がファンになってくれたのかなどの分析に時間を割くことができるようになったのです。

プロジェクトを振り返る

「ドーム様のプロジェクトは、我々がグローバルで展開するIsobar Commerceの知見やノウハウを活かすことができただけでなく、電通アイソバーにとってはECチームを立ち上げるきっかけになるなど、重要なプロジェクトになりました。コマースチームと分析チームが連携することで、顧客起点でのECサイトの設計・構築、実装ができたと思います。

今後もよりよいサイトを目指して、引き続きドーム様をサポートしていきますが、すでに不正検知機能などの追加の要望をいただいており、プロジェクトとして対応しています。

新型コロナの影響で顧客の消費行動に大きな変化が見られます。単にECサイトを構築するだけでなく、購入前、購入中、購入後を通じた顧客体験全体をどのように設計し、改善していくかを考える必要性が、今後ますます高まると考えています」(後藤)

CXデザインファームとして、顧客目線を持った提案と支援を得意とする電通アイソバー。グローバルの知見も活かしながら、ビジネスネスアナリスト、システムエンジニア、分析などの専門家がワンチームとなり、企業のビジネスサポートを行っています。

後藤 渉 Wataru Goto

プラットフォームコンサルティング部
エグゼクティブ テクニカル ディレクター
インフラ・ネットワークの構築からIT戦略の立案、ITサービス企画、システム監査およびプロジェクトマネジメントを担当。大手の通信事業者の製品開発、アパレル企業の物流システム開発、アパレルおよびたばこ事業会社のECサイト構築のプロジェクトマネジメントを経験。Eコマースのフロントから、OMS、RFID技術、物流システムに精通。
Working with Clientをモットーに単にプロジェクトマネジメントをリードするだけでなくクライアント視点で一緒にプロジェクトを推進していくことを常に心がけている。現在は、スポーツアパレル企業ECサイトのリニューアルプロジェクトのプロジェクトマネジメントおよびオフショア開発者へのディレクションを担当。

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