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2020.12.02

Dentsu Commerce Room、ソーシャルコマースに特化したプロジェクトチームを発足

コロナ禍によって、生活者の在宅時間が増加し、ソーシャルメディアの閲覧時間が増加しています。同時に、小規模事業者が大きな打撃を受けていることを背景に、国内ソーシャルプラットフォームのコマース新機能がスケジュールを早めて投入され始めました。ソーシャルメディアの活用は、コマースマーケティングの観点でも大きく期待を寄せられています。

そうした流れを受け、国内電通グループの18社で構成される「Dentsu Commerce Room」は、電通、電通デジタル、電通アイソバー、電通ダイレクトマーケティングの4社を中心に、「ソーシャルコマースに特化したプロジェクトチーム」を発足しました。

本稿では、チームに所属する4社から集まった8名に、「ソーシャルコマースに特化したプロジェクトチーム」発足の背景、目的、4社の協力体制、提供するソリューションついて話していただきました。

ソーシャルコマース領域に知見を持った4社で結成

――ソーシャルコマースに特化したプロジェクトとは何でしょうか?

: 2020年3月、電通グループはDentsu Commerce Roomというバーチャル組織を作り、デュアルファネル®全体をカバーするコマースソリューションの提供を開始しました。当初の10社から、現在は18社120名体制の横断組織になっています(2020年11月時点)。

その中から、特にソーシャルコマース領域に知見を持っている4社で結成したのが、「ソーシャルコマースに特化したプロジェクト」です。

ここ数年で発展の兆しが見えつつあるソーシャルコマースは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて加速度的に企業・ユーザー双方への認知が進んでおり、B2C事業においても重要な領域となっています。そこで、電通グループの中でも、とりわけこの領域に知見を持つ会社を選んで、このプロジェクトを結成したというわけです。

電通グループにはこれとは別に、国内のグループ6社を横断したソーシャルメディアマーケティングサービスを提供するDentsu Engagement 360™という組織もあります。今後は、こちらとも連携しながら、コマース領域に特化したサービスを提供していこうと考えています。

――今、電通グループとして本格的にソーシャルコマースに力を入れる理由は何でしょうか?

: われわれは広告会社と言われています。広告にはいろいろな役割がありますが、本質的にはモノを売ることへの貢献を、クライアント企業から期待されています。

その期待に応えるために、これまでわれわれはマス広告に留まらず、事業戦略構築、データ、テクノロジー、デジタル、クリエーティブ、エンターテインメントのコンテンツに至るまで、幅広い領域を統合したマーケティングによって、クライアント企業のコマースに貢献するためのソリューションを提供してきました。

ソーシャルメディアが若い世代を中心に重要なコミュニケーションプラットフォームとなった今、ソーシャルコマースに力を入れるのは自然な流れだと考えています。

4社の経験・知見を電通グループ全体に広げたい

――このプロジェクトチームに参加する電通グループ4社の役割分担を教えてください。

: 電通は、今回のプロジェクトの窓口、まとめ役です。ソーシャルコマースはカバーしなければならない範囲がとても広く、クライアント企業の担当者がすべてを把握するのは難しいところもあります。

そこで電通は、世の中や生活者の視点でプランニングして、3社がうまく機能するように横串を通して連携する。それによってクライアントのビジネスに寄り添い、新たな価値を創造する役割を担います。

三橋 : 電通デジタルは、ソーシャルとコマースの両分野で、データを軸にした戦略プランニング、コンサルティング、デジタルメディアの活用、広告に限らない顧客体験設計などのソリューションを提供します。

コマースの本質は、商品の作り方、見せ方、売り方、この3つをどうカスタマイズしていくかということです。ソーシャルメディアのコンテクストにおいて、どの商品を、どのように見せれば売りにつながるのか。電通デジタルのソーシャルメディア事業部や、他の3社と連携をして、クライアント企業にコンサルティングをしていきます。

口脇 : 当社はソーシャルの運用とコマースプラットフォームの構築を得意としています。また、顧客体験設計を軸としたコミュニケーションプランニングによって、ユーザーのモチベーションを創出し、プラットフォームで体験を下支えする“一気通貫した購買体験”を提供しています。

単にソーシャルプラットフォームとオウンドECを連携すれば、すぐにソーシャルコマースが実現するわけではありません。顧客目線でデザインされた顧客体験の設計が重要です。システム連携と同時に、ソーシャルコマースに最適化した運用の方法も提供しています。

清水 : 電通ダイレクトマーケティングは、「売り」につなげる視点でのコンサルティングや施策設計、運用など、費用対効果を徹底的に追求したソリューションを提供します。

特に、インフォマーシャル制作で培った「動画でモノを売るノウハウ」は、ライブコマースにも十分活かせると思います。

: これら経験者が持つノウハウを結集させることで、プロジェクトを推進するうえで、圧倒的な効率化と、提案に向けたより良い相乗効果を生み出せます。さまざまな経験者を内包できる横断チームの利点というのは、そこに尽きるわけです。

例えば、今、清水さんは特に力を入れてライブコマースに取り組まれています。そうして得た知見がプロジェクトチーム内で共有されることによって、プロジェクトチームだけでなく、Dentsu Commerce Room全体に、さらにDentsu Engagement 360™を通じて国内の電通グループ全体にも広がることを期待しています。

明確に購買や売り上げにつなげられるかが課題

――現状のソーシャルコマースの課題について、どう認識していますか?

植田 : 正直なところ、これまでのソーシャルメディアマーケティングでは、「売り」に積極的にコミットできませんでした。

電通デジタルのソーシャルメディア事業部には、ソーシャルリスニングを軸にした顧客分析、SNSアカウントを軸にした投稿コンサルティングやエンゲージメント強化、口コミ醸成のための企画プランニングなどのノウハウがあります。商品やサービスを知ってもらう、興味や関心を持ってもらう、近しい誰かの口コミから買いたい思う気持ちをつくる、というところまではできていましたが、その先、実際の購買につなげるという部分においては、課題となっていました。

しかし、購買データと紐づけて、口コミが「売り」につながることを立証し始めたクライアント企業も増えてきています。エンゲージメントだけはなく、売上にまで明確につなげなくてはいけなくなってきていると実感しています。

――ただ、ソーシャルの中で「売りたい意識」が前面に出てしまうとユーザーには嫌われる、という側面もありますよね。

植田 : 確かにそのとおりで、ソーシャルでは、企業が前に出て売ろうとすればするほど、嫌がられてしまいます。ソーシャルは決して、テレビの代わりに簡単にリーチが取れる夢のような媒体ではありません。顧客との関係構築に地道さが要求される一方で、1回の過ちで一気に顧客が離れてしまう可能性もあり、そこがソーシャルの怖いところです。レピュテーションにも関わるという認識を持って、じっくりと取り組む必要があります。

神澤 : 多くのユーザーにとってSNSは、コミュニケーションの場であり、多種多様なコミュニティの中で共通の趣味や楽しみを共有するものです。ユーザーにとって心地よいコミュニティが形成されているところに、一方的に自分の都合だけ話す人が来れば、抵抗を感じるのは当然です。コマースにつなげる以前に、そのコミュニティにどううまく入っていくか、どうやってコミュニケーションを作っていくかが大事だと思っています。

植田 : 企業がファンの人たちと一緒に商品開発をしたという事例も見ますが、そのキーワードもコミュニティ。コミュニティの中でモノが作られて、売れていく。今までのコマースにはなかったことですし、ソーシャルコマースにも活かせる話だとも思います。

三橋 : それはD2C(Direct to Consumer)にもつながる話ですね。D2C先進国であるアメリカでは、デジタルネイティブや、ミレニアル世代、Z世代と言われる人たちがD2Cブランドを盛り上げており、あらゆる面でコミュニティがベースとなった文化を作り上げています。いろいろなところで、新しいモノの作り方、売り方が出てきていると感じますね。

――ソーシャルコマースにおいては、これまでのコマースとは異なるアプローチも必要ということでしょうか?

三橋 : そう思います。通常のコマースの場合、購買ファネルの左(認知)からプランニングしていきます。しかし、ソーシャルコマースはその逆で、右(ロイヤルカスタマー化)から左(認知)にプランニングしていかなくてはいけません。

コアなファンを作る/見つけるところから始めて、その人たちのナラティブをどうやって認知や興味・関心、検討、購入につなげていくかが大事。そこが通常のコマースのアプローチと違うところだと思っています。

ライブコマースもコミュニケーション手段と捉えるべき

――新しい売り方の一つであるライブコマースは、日本でも事例が増えてきました。

清水 : そうですね。電通ダイレクトマーケティングでは、2019年にライブコマースソリューション「LIVE★X(ライブクロス)」をリリースし、さまざまなトライ&エラーを繰り返す中で、ソーシャルコマースに活かせそうな知見も得られました。それは、ライブコマースは、テレビショッピングと似ているようでまったく異なるということです。

一例ですが、テレビショッピングのMCよりも、ライブ配信アプリで多くのファンがいるライバーさん[注1]にご出演いただいたときのほうが、CVR(コンバージョン率)が高くなる傾向がありました。ライブコマースにおいてもコミュニティ、すなわち視聴者と出演者の関係性が大事ということを示しています。

ライブコマースは販売チャネルの一つではなく、コミュニケーション手段と捉えるべき。こうした知見は、今回のプロジェクトチームにも還元していきたいと思っています。

三橋 : 昔の話になりますが、ラジオショッピングがこの形態の先駆けなんですよ。ラジオ番組は、じつはリスナーのコミュニティで、ハガキによってコミュニケーションをとっていたわけです。

ラジオショッピングに生コマ(生放送形式のコマーシャル)という広告があります。番組MCの方が40秒間、生で商品のCMをするんですが、他のCMに比べてすごく売れる。売りのポイントを押さえているというのもありますが、リスナーとの信頼関係があるからです。信頼関係が売りにつながるベースになるというのは、ソーシャルコマースでも同じだと思います。

小林 : ライブコマースはモノを売る手段というだけではなく、ファン化やブランディングにも寄与するものになりつつあると感じています。

特にこのコロナ禍においては、店舗に来られないお客さまのために、ライブ配信を通じてお客さまと店舗スタッフとのコミュニケーションをとる機会にしましょう、という提案もしています。

新しいビジネスモデルを始める気持ちでの取り組みが必要

――本ソリューションは、どのような課題を抱えている企業を想定していますか?

竹下 : 実際にご相談いただいた中で言うと、まずは、ブランドの若返りを図りたい、若年層との関係性を強化したいという課題を挙げる企業が多いです。

また、国内のECプラットフォーム以外にもチャネルを広げたい、これからECにも参入したいけどスモールスタートで始めたいというお話もあります。他には、刈り取り目的のデジタル施策や、これまでのマスマーケティングが効きづらくなってきているから何とかしたいなど。

そういうお悩みを持つ企業に対して、3社それぞれの強みを生かしたソリューションを提供させていただきたいと思っています。

: ショッピングカートに入ったまま購入されていない商品、いわゆる「カゴ落ち」の合計額は約7兆円あるのではないかという試算があります。私は「7兆円の損失」と言っていますが、ソーシャルコマースの進化によって、そのうち3兆円は購買につなげられる可能性があります。

3兆円の市場というのはかなり大きい。企業にとって無視できない市場です。だからこそ、このマーケットへの参入に関してお悩みを持っているクライアントに対して、さまざまな形でご支援していきたいと思っています。

口脇 : ソーシャルコマースの運用は、単純に機能としてソーシャルとコマースを連携するというだけではなく、新しいビジネスモデルを始める気持ちで取り組まないとうまくいきません。運用する組織やKPIの設定、担当者の評価など、内部の体制変革から取り組むことが求められます。

神澤 : ソーシャルを通じて商品を目にしたときに、自然に欲しいと思って、いつの間にか買っていた。そういう流れを作るためには、まずは売り上げの数値にとらわれない戦略やコミュニケーションプランをしっかり練る必要がありますし、売る側の企業の意識変革も必要です。そうした変化が必要なすべての場面で、私たちの知見を活用いただきたいですね。

ソーシャルコマースも顧客基点のマーケティングで

――最後に、本ソリューションに関心がある企業担当者へのメッセージをお願いします。

: 生活者を適切に見つけ出して、ベストなタイミングでアプローチしていくことが、ソーシャルコマースでは非常に重要です。また、企業からのメッセージでだけはなく、UGC(User Generated Contents)を意識した展開にも十分に配慮する必要があります。

ソーシャルコマースを展開するうえでは、コミュニケーションプランニング、良質なコンテンツの開発、データマーケティングの融合は非常に重要です。ロイヤルティ向上から販売促進、売りにコミットするところまで、オン/オフのデータを統合したコミュニケーションマーケティングとしてソーシャルコマースを手がける際には、ぜひ電通グループのこのチームに、お手伝いできるチャンスをいただければ幸いです。

植田 : 特に自社でECを運営している会社だと、わざわざ外部に頼むほどではないとお思いかもしれません。しかし、顧客視点によるソーシャルコマースのプランニングを自社だけで実施するのは非常に難しいものです。顧客基点のマーケティングは電通グループのいちばん得意とする分野。私たちに徹底した売りを実践するお手伝いをさせていただければと思います。

三橋 : もともと電通はコミュニケーションの会社です。マスとのコミュニケーションの舞台は、テレビCMから、ソーシャルやコマースへも広がりつつあります。お客さまとのコミュニケーションや顧客体験を作ることについては、われわれ電通グループに一日の長があると自負しています。その強みを生かして、クライアント企業の問題解決に貢献したいと思っています。

[注1]ライブ配信アプリなどを通じて、ライブ配信(生放送)を行う人。ユーザーから直接投げ銭やデジタルギフトを受け取ることによって収益を得ている。

▼著者
株式会社電通デジタル
デジタルコマース事業部
事業部長
三橋 良平

株式会社電通デジタル
ソーシャルメディア事業部
事業部長
植田 みさ

株式会社電通
トランスフォーメーション・プロデュース局
コマースプロデュース2部 部長(GM)
金 用國

株式会社電通
トランスフォーメーション・プロデュース局
コマースプロデュース2部
竹下 康介

電通アイソバー株式会社
プラットフォームコンサルティング部
エグゼクティブプランニングディレクター
口脇 啓司

電通アイソバー株式会社
コミュニティデザイン部
シニアプランニングディレクター
神澤 由利

株式会社電通ダイレクトマーケティング
事業コンサルティング・オフィス
ECソリューション開発部長
清水 宣行

株式会社電通ダイレクトマーケティング
デジタルマーケティング・コンサルティング部
小林 憲史

 

本稿は電通デジタルコーポレートサイトの転載記事です。

口脇 啓司 Keishi Kuchiwaki

プラットフォームコンサルティング部 エグゼクティブ プランニング ディレクター
アパレル企業で、ECビジネス、オムニチャネル戦略やデジタルトランスフォーメーションプロジェクトなどデジタルに関する全社プロジェクトを責任者として推進。2019年7月より現職。

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神澤 由利 Yuri Kamisawa

ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 ユニット1 室長/シニアプランニングディレクター
SNS(Facebook, Instagram, Twitter, LINE, Tiktok)を中心にSNS戦略、コミュニケーションプランニング、全体を統括するプロジェクトマネジメントとして従事。
顧客インサイトをベースにしたブランドコミュニケーションプランとそのPDCAが強み。
ラグジュアリーブランド、コスメブランド、アパレルなどの女性商材から、製薬、食品、飲料メーカーなど様々なSNSの課題に取り組む。2013年に電通アイソバーに参画。

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