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2020.03.19

新型コロナウイルスの出現によりビジネスの優先順位が変わる/ ウイルスに打ち勝つための代替ビジネスとは

「日本株急落、調整局面に入る」バロンズ

「直近の最高値から10%下落、株式市場が調整局面入り」ロサンゼルス・タイムズ

「ヨーロッパの株式市場が3.6%下落。新型コロナウイルス感染が懸念される中、調整局面に入る」CNBC

わずか数週間のうちに、第1四半期に対する高い期待が一転、世界は不安に陥っています。人間の目には見えないウイルスが世界中に猛威を振るい、ビジネスは後退を余儀なくされ、学校は休校となり、街はまるで世界が滅亡したかのような様相を呈しています。

対策措置として打ち出されたのが、テレワーク(在宅勤務)の実施やオンラインショッピングの利用など、人との接触を極力避けて毎日を過ごすという活動形態です。新型コロナウイルスが流行する中、中国人消費者の行動を見れば、今後の世界市場の動向や、すべてがデジタルを介して進む未来の社会がどのようなものか、うかがい知ることができます。

「新型コロナウイルスが流行し、家で過ごす人が増え、消毒剤やヘアケア小物、マッサージチェアのオンラインショッピングの売上が好調」香港サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(South China Morning Post)

新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する手段としてテレワークが増加傾向にあるこの時期、人々は極力外出を控えています。例えば現状、顧客からのオンラインオーダーやデリバリーサービスの需要がなかったとしても、いずれその要求は発生するでしょう。オンラインオーダーやデリバリーサービスといった業務戦略を採用するブランドは、今、この大変な時期に間違いなく優れた顧客体験を提供できるブランドであると言っても過言ではありません。

その代表格が食料品をスーパーなどに買いに行くのは安全ではない、と考える人に食料品を自宅に当日配達するUber EatsやAmazonといったブランドです。こうしたサービスを利用することで、顧客は他人との接触を避け、ウイルスにさらされる心配のない安全な環境にいながら食事や買い物ができるということを売りにしています。こういったブランドはオンラインオーダーやデリバリーサービスの利便性に対する自社のバリュープロポジションを確立しています。御社ブランドが独自にこの機能を開発する必要はありません。多くの小規模レストランはUber Eatsと提携することで料理のデリバリーサービスを提供しています。

重視すべきサービスは、デリバリーサービスに限ったことではありません。在宅勤務をする人の割合が高くなると、中には孤独感を感じる人が出てくる可能性もあると思います。アメリカではリモートワークで勤務する人のうち、約20%が同僚や上司との接触や交流が少ないため、寂しさを感じているという調査結果が報告されています。この点については、サービスによって問題を完全に解決することができるという訳にはいきませんが、オンラインなどを利用して離れた場所にいる人同士が交流し接点が持てるツールが必要だということは明らかです。ハイブリッド対応のチャットボットを使った場合はどうなのか考えてみましょう。ハイブリッド型のチャットボットというのはロボットによる自動対応と有人対応が組み合わさったチャットサービスで、これを利用することで顧客体験の中に「人との交流」という要素を加えることが可能となります。ZoomのようなWeb会議システムに類似するビデオ通話ツールを職場で使用するというのも1つの方法かもしれません。例えば、美容業界だと美容部員がお客様にカウンセリングを行う際に YouCamというWebカメラを用いた写真・動画撮影ソフトを活用することで両者のコミュニケーションが可能になります。また、医療の世界であれば、Teladocというビデオ通信を使ったオンライン診療サービスを使うことで離れた場所にいる患者が医師の診察を受けることができます。

上記の戦略は、いずれも物理的な製品を提供するビジネスです。次に、テレワーク社会で好位置につけている別のビジネスモデルをご紹介しましょう。オンラインサービスを自社の商品として提供するビジネス、すなわち、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア:SaaS)を提供する会社です。これらの企業が扱う商品はUber Eatsデリバリーと同じように利用者とのやりとりを最小限に留める、あるいは、全くやり取りをしないで利用者のもとへ直接届けるタイプのビジネスモデルです。テレワークをしている利用者がいる限り、こういったサービスの需要が減ることはありません。また、Netflix、Hulu、Twitch、Spotifyといった動画や音楽の配信サービスやUdemyのようなオンライン動画学習サービスなど、SaaSを使ったエンターテインメントや教育ビジネスの需要は増加の一途をたどっています。テレワークで仕事をすれば、通勤をする必要がないので通勤時間が浮きます。学生だと学校が休校になれば、その分、「自由な時間」が増えます。つまり、働く人と学生の双方で以前よりもエンターテインメントを楽しむ時間が増えているということです。SaaSのビジネスモデルの開発のほかに貴社がSaaSビジネスをすでに展開している既存の会社とどうやったら提携することができるか考えてみましょう。例えば、中国の学校では オンライン講座を開講しています。オンラインB2B、つまり、ウェビナー(Webinar)を提供する業者とタッグを組んで、この「自由な時間」を社員研修に充てることも可能になるでしょう。他にはSaaSビジネスを展開する会社と提携することで、自社製品のプロモーションに活用できるかもしれません。SaaSビジネスを展開する会社のエンターテインメントカタログやプラットフォームに顧客が一定期間アクセスできるようにするというのはどうでしょうか。例えば、メディアストリーミングデバイスの Rokuは、NetflixやAmazon プライムを一定期間、顧客に無料で体験してもらうサービスを提供しています。

ブランドは自社ブランドのマーケティングを行う傍ら、テレワークで働く顧客のエンターテインメントに関するニーズを満たすことに力を入れることができます。アメリカBlendtec社の 「Will It Blend(まざるかな?)」キャンペーンはその最たる例です。ミキサーを製造販売するBlendtec社は、2006年にiPhoneのような通常はミキサーにかけないような物をミキサーにかけるというユーモアたっぷりの動画シリーズの制作を始めました。この動画は自社製品であるミキサーの優れた性能を宣伝するために作られたのですが、エンターテインメント性の高い人気動画としてシリーズ化され多数の作品が作られました。

御社のオンライン顧客体験戦略はどんなものですか?

ガートナー社は「マーケティング担当者の81%が、自社は2年後にCX(顧客体験)に基づく競争をするようになるだろう、と答えている」という 調査報告を上げています。今のところ新型コロナウイルスの流行がいつ収束するのか、また、それが来年も再び流行するようなことがあるのか不確かではありますが、現在顧客の期待に応えることができているブランドは、長期的に見て顧客にずっと贔屓にしてもらえるブランドだということが言えます。以下のポイントが実践されているかどうか考えてみましょう。

● 受注から配送までの一連の業務が素早く行われている

● オンライン発注システムが明瞭簡潔

● ビデオを使うことを前提としたサービス

● ソフトウェア、オンライン、クラウドソリューション

● エンターテインメントあるいはゲーム感覚で遊びながら学べるコンテンツの導入

世界市場のほとんどが苦戦を強いられる中、最適化された顧客体験を届けているブランドは成長しているということが分かっています。。最近、 Netflix とWeb会議システム Zoomはいずれも株式市場で大きく成長しています。世の中が大変なこの時期でも強さを発揮する、こういった企業の顧客体験に学び自社のオンラインでの接点の優先順位をつけるようにしましょう。そうすれば多くの企業と同じ苦しい道をたどらずに済むかもしれません。

記事転載元:The Drum "How CX can beat the coronavirus"
https://www.thedrum.com/opinion/2020/03/09/how-cx-can-beat-the-coronavirus

カーダー ジェネッサ Jenessa Carder

CXストラテジー本部付 バイスプレジデント
電通アイソバーにて、消費者体験(CX)戦略担当バイスプレジデント。美容、CPG、ハイテク、ヘルスケア、フィットネスなど様々な業界の世界中のクライアントに対して、キャンペーン、製品発売、デジタルエクスペリエンス、トランスフォーメーションプロジェクトにおいて10年以上のコンサルティング経験を持っています。

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